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vol.3財務上の是正改善効果


 会計検査院は、平成26年6月30日に「検査報告等に関する財務上の是正改善効果(25年試算)」が年3,467億円であったと、以下のとおりホームページで公表した。

 「会計検査院では、本院の活動を国民に分かりやすく説明する見地から、検査報告等に関し1年間になされた検査対象機関による是正改善のうち、国等の検査対象機関に財政、財務面でプラスの便益をもたらした是正改善についてその規模、程度を金額で表示できるものを、一定の前提及び把握方法に基づき、「検査報告等に関する財務上の是正改善効果」として試算しています。今般、25年試算を取りまとめましたので、公表いたします。

http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/26/h260630_1.html

 効果額の推移、試算の方法・考え方、効果金額の持つ意味、海外の会計検査院での状況などは、公表資料に詳しく解説されているので、今回の公表を受けての雑感を述べさせていただく。

 会計検査は執行済みの事業を検査することが多いため、事業完了後に、例えばこの公共事業は無駄だったと指摘されても、元に戻すことはできず、会計検査に財務上の効果はほとんどないのではないかと考えられることがある。しかし、この公表内容や効果事例からわかるとおり、会計検査の指摘を受けて、より経済的な調達方法へ改善されるケースや、有効利用されていない財源の活用など、多くの財務上の効果があることがわかる。

 また、会計検査の効果は、ここで試算された金額だけではなく、あるいは金額で表されるものとは限らない。例えば、整備された施設の安全性や、環境問題、施策の公平性の確保など、会計検査は様々な観点からなされていることも見落としてはいけないだろう。

 ところで、この効果額は、会計検査を受けて検査対象機関が改善に取り組んだ成果であることから、会計検査のOutcome指標の一つであるとも言えるのではないか。そして、この効果額と会計検査に費やされたコストとの関係、すなわち、会計検査のVFM ( Value for Money ) という観点でみると、会計検査院予算額である約160億円(平成25年度当初予算)の20倍以上のOutcomeを達成していることになる。

 ただし、そもそも会計検査院に指摘されるような無駄遣いが無くなればもっといいのだが・・・。

コーナー編集担当:柴 健次