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vol.6連日の会計検査院についての報道

  新聞やテレビで連日会計検査院の検査に関しての報道が続いています。

Vol.5で書きましたように、会計検査院が検査の結果等を国会に対して報告することが出来るのは、原則として、各年度の決算にかかる検査報告のみでしたが、平成17年の会計検査院法の改正により新設された「第30条の2」により、意見表示や処置要求その他会計検査院が特に必要と認める事項については、随時、国会及び内閣に報告できるようになり、これを「随時報告」と呼んでいます。

 最近マスコミで取り上げられているものには、この随時報告や、Vol.2で説明した国会からの検査要請に基づく報告だけではなく、会計検査院法第34条や第36条に基づいておこなった意見表示や処置要求の内容が多くあります。

 今回はこの制度について解説してみたいと思いますので、第34条と第36条の違いなどを踏まえて、会計検査院のWebサイトをチェックされることをお勧めします。

 まず、会計検査院法第34条によれば「会計検査院は、検査の進行に伴い、会計経理に関し法令に違反し又は不当であると認める事項がある場合には、直ちに、本属長官又は関係者に対し当該会計経理について意見を表示し又は適宜の処置を要求し及びその後の経理について是正改善の処置をさせることができることになっています。
 また、会計検査院法第36条によれば「会計検査院は、検査の結果、法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは、主務官庁その他の責任者に意見を表示し又は改善の処置を要求することができる ことになっています。

 そして、これらは、会計検査院としての結論に達したとき、検査対象機関に対して発せられるものですが、その事項については、会計検査院のWebサイトに掲載するのなどの方法で公表されています。更に、年に一度の「検査報告 に「意見を表示し又は処置を要求した事項」として掲記されることになっています。

 では、第34条と第36条の違いはどこにあるのでしょうか?

 キーワードは、34条にはあり、36条にはない「法令に違反し又は不当であると認められる事項」と「直ちに」という2つです。どちらも現行の会計経理に問題がある事項の改善を求めているのですが、34条では、それが法令違反であったり、損害が発生しているようなケースで、更に損害回復の事後処置や発生防止を速やかに行うことを求めることを想定しています。

 一方、36条では「法令、制度又は行政に関して改善を必要とする事項があると認めるときは」との記載があります。すなわち、会計経理が、現行の法令や要綱などの既存のルールには準拠しているものの、そのルールそのものが陳腐化したり実態に合っていないなどで問題がある場合には、措置要求や意見表示の形で、改善を求めることを想定しています。現行法令に対する意見表示等であり、強制力はないものの、会計検査院の大変強い権限の一つであり、重要な機能であると言われています。

最後に、このようにして発せられた処置要求や意見表示は、その事後措置の状況を毎年検査し、検査報告でその改善状況を記載し、改善までのフォローアップが行われています。

コーナー編集担当:柴 健次